ムボウビハート



 「地球の果てに取り残されたら、そこに居るのはあんずと俺だけだろ?そしたらさ、テレビも携帯も本もパソコンも当たり前だけど、なくて。」



静かに喋るあらたの声音と、車の外の雨音が重なって、耳に心地いい。




「それでも俺は、あんずさえ隣にいてくれたら、なんにもいらねーなって今、気がついた。」



少しずつ、前に向けていた視線をあたしの方へ向けながら、そんな風に話すあらた。




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