ムボウビハート



 「話すつもりじゃなかったんだ。でも、雨を見てるうちに話したくなった。あの人に背中を押してもらったからな。」



『彼女をどうか、シアワセにしてあげてください。』



僕が言えたことじゃ、ないですけど。



「って、さ。あんずは確かに、愛されてた。どちらかだけが傷つくとか、どちらかがたくさん傷つけたとか、そんなんじゃ絶対、ない。どちらもたくさん傷つけて、傷ついた。」



だから、さ?もう、あんずは自分を許してやっていいんだよ。



「な?」



あたしをまっすぐに見つめる、あらたのまなざし。



本当は、ココロの底ではずっと、気にしていた。



あらたと過ごしていても、こんな素敵なシアワセがずっと続くんだろうか?と。



続けば、いいな。



でも、いつか壊れてしまうかも知れない。



でもそれは、仕方がない。



あたしは他人を、傷つけたのだから。




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