ムボウビハート
相変わらず、ひんやりとした館内。



せめても、と、バランスを取ったヒールがあるサンダルがコツコツと歩くたびに音を響かせる。



きょろきょろと、あらたの姿を探しながら歩く。



あらたに褒めてもらいたいと選んだ、おろしたてのサンダルは、履きなれていないせいか歩き辛くて。 



「…わ…っ…!!」



広い館内に、響いた私の悲鳴。



転びそうになった瞬間、薫る白。



「なにやってんだ、馬鹿あんず」



あたしの腕を掴む、あらたの姿が目に入って、急上昇する、体温。















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