ムボウビハート



 「でしょう?でしょう?!違うタイトル、考えようよ!!」



今しかない!!そんな気持ちを後押しして、あらたに提案をする。



「んじゃあ、候補は?」



逆にそんな風に問われて、固まった。



大体が、あたしのことを描いてくれたのだ。



どこにでもいる平凡な女が、描かれている絵に一体どんなタイトルが似合うと云うのだろう?



あたし、お得意のマイナスな感情が顔を出す。



「んーー、だってこれ、あたしだし。」



なんて、拗ねた声を出せば。



「まぁた、お前は。馬鹿だなー。俺はあんずだから好きなんだよ。何回も言わせんな、馬鹿。」



あたしの額に、チョップを落として、そのまま強く抱き寄せてくれたのは、世界にひとり、あたしだけの、あらた。




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