愛を教えて欲しくない
慧は「ゔぅん」と呻き声を小さくあげて、自分の旋毛を押す私の左手をパシッととった。
「なぁに、まなちゃん」
「別にぃ」
横に向いていた足を机の下にしまって背を向けると、今度は慧が私の背中をぐりっと押してきた。
「いっ」
いきなりの出来事と丁度背骨にあたった拳に驚きの声を呑んで慌てて口を抑えるも空しく、どうした榎澤?と担任が自分の話を辞めて聞いたので壁に肘をぶつけてしまって、ともっともらしいことを言って誤魔化した。