揺るぎのない愛と届かない気持ち
「紗英が、あなたと悠を会わせてもいいって、
言っているわ。」

息が止まった。
聞き間違いではない?

「けど、許したから会えるのではなく、
これからのことをきちんと話しましょうという、
気持ちね。

紗英もあなたと話し合う時が来たと、
思っているのよ。
その結果、
あの子がどういうふうに結論づけるかは、
あの子の気持ち。

今日、私に話してくれたことは
まだあの子には言わない。

あなたが寸分漏らさずにおっしゃい。

その未遂のような未遂じゃないようなことも
ちゃんとね。
紗英はその事を知りたがると思うわ。
下手に隠したりすると、
もう2度と会えないと思うわよ。

あの子の中にあなたが自分より長内さんを
優先したことが重くのしかかっているのよ。
自分より彼女を選んだのではないかと、、、

それはあの子のトラウマによるものもあるわね。

さぁ、
あとはあなたがいかに紗英の感情を
導き出せるかでしょ。

検討を祈る。」

お義母さんは茶化すように言われたが、
大変なことに違いない。

とても気になることも言われた。

トラウマ、、、?

まずは、
俺のありのままの気持ちを知ってもらいたい。
決してかっこ良くも何ともない本当の自分を。


「それと
東吾くんは、会社は辞めないの?」

「と言われるのは。。。」

「あなたに将来への野望はないのかって
尋ねているの。」

「これからのことは色々と考えています。
どの時点で踏切板を踏むか、、、
ただ、今の状況で、」

「生ぬるいわね。」

お義母さんはそうぽつりと呟いた。

「はい?」

「まぁ、いいわ。
では、遅くなったらラッシュにかかるから、
もうお帰りなさい。」

また
唐突に呼び出されて唐突に帰されることになった。


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