揺るぎのない愛と届かない気持ち
東吾と会う 〜紗英
香衣とあの日話して、
東吾さんと会う決心がついた。
香衣のように自分の思いのすべてを、
相手にぶつけられるかどうかわからないが
彼に自分の気持ちを、曝け出したい。
東吾さんにも私への気持ち、
長内さんへの気持ちを
嘘偽りなく言って欲しい。
東吾さんは悠に初めて会って、
どう思うだろうか、、、
生後1ヶ月を過ぎて、少ししっかりしてきた。
まだ、笑ったりはしないが、
ほや〜とした笑顔に見える顔をしたり、
真っ赤になって泣いて、
自己主張をしてくるときなど、
この子はもうきちんと感情がある人間なんだ。
と思う。
彼が高木の家に来る日、
父と慶は母から家を追い出されていた。
二人はかなり不満そうな顔をしていたが、
絶対に嘴を挟むのがわかっていたので
母が、
とりあえず今日は紗英と東吾さんだけの
話し合いなのだからと、
家に近づくのを許可しなかった。
二人とも別邸へ追いやられた。
お昼を過ぎた頃、
東吾さんがやって来た。
久しぶりに見る東吾さんは、痩せていた。
目の下にクマも見える。
「久しぶり。」
「紗英、髪の毛切ったんだね。」
東吾さんからは挨拶なしで、
私が手入れがしやすいように
短く切ってしまった髪の話をした。
「そうね。
長い髪は何かと面倒で、
思い切って切ったの。」
「育児はやっぱり大変?
身体の方はもう大丈夫なのか?」
「育児、、、楽しい経験だけど、大変は大変。
人を育てるって、大変。
身体はもう大丈夫。
この間も検査に行ったけど、
もう、心配ないって。
大変って言ったら罰が当たりそうなくらい、
恵まれた環境にいるし。」
質疑応答のような、
どこかぎこちなくもどかしいような
話の応酬となっている。
「かけたら。」
東吾さんに椅子を勧めた。
部屋へ入ってきて、
彼は立ちっぱなしで話をしていた。
そこへ母がミルクを飲ませ終わった
悠を抱いて入ってきた。
お手伝いのえっちゃんが、東吾にコーヒー、
私にオレンジジュースを持って来てくれた。
「東吾くん、ちょっと熱いものから離れて。」
彼は立ち上がって、
運ばれたコーヒーから離れた。
その目はその間も、
抱っこされている悠に釘付けだった。
「慣れなくて、悠を落としでもして、
コーヒーがかかったら大変だから。
はい。抱っこして。」
母らしくサラッと牽制をしながら、
悠を手渡そうとするから、
彼は緊張のあまり、固まって手が出なかった。
「ほら、両手を差し出して。
こちらの手は、首を支えて。
まだ、
ちゃんと据わっていないからホールドして、
ぐらぐらさせないで。
大丈夫。
肩の力を抜いて。」
母からうるさく言われて、
恐る恐る抱っこしていた東吾さんは、
本当にかちこちに固まって、
肩は上がっているし、
うっすらと額が汗ばんできたようにも見えた。
「しっかり抱っこしてね。
急にもそもそして動き出したら、
バランスを崩しやすくなって、
落っことすかもしれないから。」
「お母様、もう揶揄うのはそのくらいにして。
東吾さんも、ソファの方へ腰掛けて、
ゆっくりと自分の足の上に乗せるような感覚で
抱っこしたら、楽よ。
あまりに緊張すると、悠が居心地悪くなって、
泣き出しちゃうから。」
東吾さんは息をしているのかしてないのか、
ギクシャクとロボットのように動いていた。
「どう?初めて抱っこをした感想は?」
母が彼に尋ねた。
「小さい、、です。
そして、可愛いです。。。」
東吾さんが静かに泣き出した。
東吾さんと会う決心がついた。
香衣のように自分の思いのすべてを、
相手にぶつけられるかどうかわからないが
彼に自分の気持ちを、曝け出したい。
東吾さんにも私への気持ち、
長内さんへの気持ちを
嘘偽りなく言って欲しい。
東吾さんは悠に初めて会って、
どう思うだろうか、、、
生後1ヶ月を過ぎて、少ししっかりしてきた。
まだ、笑ったりはしないが、
ほや〜とした笑顔に見える顔をしたり、
真っ赤になって泣いて、
自己主張をしてくるときなど、
この子はもうきちんと感情がある人間なんだ。
と思う。
彼が高木の家に来る日、
父と慶は母から家を追い出されていた。
二人はかなり不満そうな顔をしていたが、
絶対に嘴を挟むのがわかっていたので
母が、
とりあえず今日は紗英と東吾さんだけの
話し合いなのだからと、
家に近づくのを許可しなかった。
二人とも別邸へ追いやられた。
お昼を過ぎた頃、
東吾さんがやって来た。
久しぶりに見る東吾さんは、痩せていた。
目の下にクマも見える。
「久しぶり。」
「紗英、髪の毛切ったんだね。」
東吾さんからは挨拶なしで、
私が手入れがしやすいように
短く切ってしまった髪の話をした。
「そうね。
長い髪は何かと面倒で、
思い切って切ったの。」
「育児はやっぱり大変?
身体の方はもう大丈夫なのか?」
「育児、、、楽しい経験だけど、大変は大変。
人を育てるって、大変。
身体はもう大丈夫。
この間も検査に行ったけど、
もう、心配ないって。
大変って言ったら罰が当たりそうなくらい、
恵まれた環境にいるし。」
質疑応答のような、
どこかぎこちなくもどかしいような
話の応酬となっている。
「かけたら。」
東吾さんに椅子を勧めた。
部屋へ入ってきて、
彼は立ちっぱなしで話をしていた。
そこへ母がミルクを飲ませ終わった
悠を抱いて入ってきた。
お手伝いのえっちゃんが、東吾にコーヒー、
私にオレンジジュースを持って来てくれた。
「東吾くん、ちょっと熱いものから離れて。」
彼は立ち上がって、
運ばれたコーヒーから離れた。
その目はその間も、
抱っこされている悠に釘付けだった。
「慣れなくて、悠を落としでもして、
コーヒーがかかったら大変だから。
はい。抱っこして。」
母らしくサラッと牽制をしながら、
悠を手渡そうとするから、
彼は緊張のあまり、固まって手が出なかった。
「ほら、両手を差し出して。
こちらの手は、首を支えて。
まだ、
ちゃんと据わっていないからホールドして、
ぐらぐらさせないで。
大丈夫。
肩の力を抜いて。」
母からうるさく言われて、
恐る恐る抱っこしていた東吾さんは、
本当にかちこちに固まって、
肩は上がっているし、
うっすらと額が汗ばんできたようにも見えた。
「しっかり抱っこしてね。
急にもそもそして動き出したら、
バランスを崩しやすくなって、
落っことすかもしれないから。」
「お母様、もう揶揄うのはそのくらいにして。
東吾さんも、ソファの方へ腰掛けて、
ゆっくりと自分の足の上に乗せるような感覚で
抱っこしたら、楽よ。
あまりに緊張すると、悠が居心地悪くなって、
泣き出しちゃうから。」
東吾さんは息をしているのかしてないのか、
ギクシャクとロボットのように動いていた。
「どう?初めて抱っこをした感想は?」
母が彼に尋ねた。
「小さい、、です。
そして、可愛いです。。。」
東吾さんが静かに泣き出した。