揺るぎのない愛と届かない気持ち
「あら嫌だ。泣くのは赤ちゃんの仕事でしょ。」
またもや母が揶揄う。
「こんなに小さな子を、俺は、、、俺は、、、」
涙が止まらなくなって、
嗚咽し出した東吾さんから
母は静かに悠を受け取ると、
そのまま部屋から出て行った。
私は東吾さんが泣き止むまで、
立ち上がって窓の外を見ていた。
青空が目に染みるとても天気がいい日だ。
悠がもう少し大きくなったら、
ベビーカーに乗せて
こんな気持ちがいいお天気の日は、
お散歩へ行こう。
「ごめん、、、泣くつもりなんてなかったのに。」
その東吾さんの言葉で、私は振り返り、
ゆっくりと彼の前の椅子に腰掛けた。
「コーヒーを飲んで。
すっかりと冷めてしまったけど。
それとも、入換えてもらう?」
「いや、このままでいい。
それより、
紗英はコーヒーは飲んだらいけないのか?」
私の目の前をジュースを見て、東吾さんが尋ねた。
「おっぱいも少し上げられるようになったから、
刺激物は避けているの。
1杯くらいはいいでしょうけど、
飲み出したら止まらなくなりそうで。」
「そうか、、、珈琲好きだもんな。。。」
しばらく続く沈黙の時間。
お互いに何から話そうか、
探り合っている状況だろうか。
私は、東吾さんから話しだすのを待っている。
その沈黙の後、彼が静かに話し出した。
喉がグッと締められたような声を出している。
「お義母さんから、
長内と話すようにと言われた。
もちろん、
俺もこのままにはできないと思っていたけど、
一歩踏み出せなくて。
お義母さんから、喝を入れられたのかなぁ。
一人で考えて、、、
あの日紗英が倒れて、悠が生まれて、
二人とも危なくって、、、、
本当に一人で
何も考えられなくなっていたんだ、、、
いや、
そうじゃない。」
東吾さんは
自分の感情を持て余すかのように、
幾分の苛立ちをもって話し始めた。
いつもは理路整然と話す人なのに。
「紗英があの日帰って来たとき、
いやその前から俺と長内とのことを、、、」
「東吾さんの恋人だった人でしょ。
長内さんって。」
私は思わず口を挟んだ。
「付き合っていたけど、
恋人だったとは言えない。
6、7年前のことだ。
1年にも満たないくらい付き合いだった。
それも、
好きになって付き合い始めたわけではなく
周りの友人たちの口車に乗るように、
付き合い始めた。
本当にいい加減だったんだよ。」
東吾さんは
長内さんと付き合い始めたきっかけから、
男と女という付き合いから、
友達に戻った話までをした。
「どうして友達に戻ろうって言ったの。」
「そのまま疎遠になってしまったら、
長内の立場がないと思ったんだ。
俺がいい加減な気持ちで付き合って、
俺のわがままで解消して、、、、
別れてそのままだったら、
長内は会社でも居心地悪いだろうし、
フットサルへも行けなくなる。
それよりも友達に戻ったって言った方が、
まだ、立場が守れて
いいのじゃないだろうかって、、、
馬鹿だよな。
こんな提案をするなんて。
結局自分が人に対して別れの口実として
使っていただけだよ。
友達の方がしっくりくるなんて。。。」
「長内さんは東吾さんに心を残していた。
別れ話のその日も長内さんは、
同棲しようと、言おうとしていた、、、」
「本当はわかっていたんだ。
俺は別れようと思っていたけど、
長内はそうじゃないって。
見ないふりをしていたんだ。
気づかないふりをしていたんだ。
だから、長内の話の途中で、
別れを切り出した。
長内は驚いていたけど、
そう言おうと思っていたって、、、
嘘だってわかっていた。
重いくらいの罪の意識を感じて、、、
咄嗟に友達でいようって。」
「東吾さんは狡い。
長内さんが可哀想って、自分は何様なの?
それに、長内さんもそんな東吾さんの側にいて
報われない想いに、悩みながらも、
幼馴染の婚約者を振り回して。」
「そうだな。
俺が一番悪い。
別れてから友達である必要なんて
どこにもなかったんだ。
違和感がありながらも、
いつもそばにいる長内に
慣れ切ってしまっていた。
それに、長内に申し訳ないという気持ちが、
どこかにあって、、、
頼られれば、断れなくなっていた。」
東吾さんの優しさ、、、
優柔不断な気持ちに長内さんはつけ込んだ、、、
と私は意地悪く見てしまった。
「東吾さんが私と結婚したことも、
彼女の中では認められない
ことだったんでしょうね。」
またもや母が揶揄う。
「こんなに小さな子を、俺は、、、俺は、、、」
涙が止まらなくなって、
嗚咽し出した東吾さんから
母は静かに悠を受け取ると、
そのまま部屋から出て行った。
私は東吾さんが泣き止むまで、
立ち上がって窓の外を見ていた。
青空が目に染みるとても天気がいい日だ。
悠がもう少し大きくなったら、
ベビーカーに乗せて
こんな気持ちがいいお天気の日は、
お散歩へ行こう。
「ごめん、、、泣くつもりなんてなかったのに。」
その東吾さんの言葉で、私は振り返り、
ゆっくりと彼の前の椅子に腰掛けた。
「コーヒーを飲んで。
すっかりと冷めてしまったけど。
それとも、入換えてもらう?」
「いや、このままでいい。
それより、
紗英はコーヒーは飲んだらいけないのか?」
私の目の前をジュースを見て、東吾さんが尋ねた。
「おっぱいも少し上げられるようになったから、
刺激物は避けているの。
1杯くらいはいいでしょうけど、
飲み出したら止まらなくなりそうで。」
「そうか、、、珈琲好きだもんな。。。」
しばらく続く沈黙の時間。
お互いに何から話そうか、
探り合っている状況だろうか。
私は、東吾さんから話しだすのを待っている。
その沈黙の後、彼が静かに話し出した。
喉がグッと締められたような声を出している。
「お義母さんから、
長内と話すようにと言われた。
もちろん、
俺もこのままにはできないと思っていたけど、
一歩踏み出せなくて。
お義母さんから、喝を入れられたのかなぁ。
一人で考えて、、、
あの日紗英が倒れて、悠が生まれて、
二人とも危なくって、、、、
本当に一人で
何も考えられなくなっていたんだ、、、
いや、
そうじゃない。」
東吾さんは
自分の感情を持て余すかのように、
幾分の苛立ちをもって話し始めた。
いつもは理路整然と話す人なのに。
「紗英があの日帰って来たとき、
いやその前から俺と長内とのことを、、、」
「東吾さんの恋人だった人でしょ。
長内さんって。」
私は思わず口を挟んだ。
「付き合っていたけど、
恋人だったとは言えない。
6、7年前のことだ。
1年にも満たないくらい付き合いだった。
それも、
好きになって付き合い始めたわけではなく
周りの友人たちの口車に乗るように、
付き合い始めた。
本当にいい加減だったんだよ。」
東吾さんは
長内さんと付き合い始めたきっかけから、
男と女という付き合いから、
友達に戻った話までをした。
「どうして友達に戻ろうって言ったの。」
「そのまま疎遠になってしまったら、
長内の立場がないと思ったんだ。
俺がいい加減な気持ちで付き合って、
俺のわがままで解消して、、、、
別れてそのままだったら、
長内は会社でも居心地悪いだろうし、
フットサルへも行けなくなる。
それよりも友達に戻ったって言った方が、
まだ、立場が守れて
いいのじゃないだろうかって、、、
馬鹿だよな。
こんな提案をするなんて。
結局自分が人に対して別れの口実として
使っていただけだよ。
友達の方がしっくりくるなんて。。。」
「長内さんは東吾さんに心を残していた。
別れ話のその日も長内さんは、
同棲しようと、言おうとしていた、、、」
「本当はわかっていたんだ。
俺は別れようと思っていたけど、
長内はそうじゃないって。
見ないふりをしていたんだ。
気づかないふりをしていたんだ。
だから、長内の話の途中で、
別れを切り出した。
長内は驚いていたけど、
そう言おうと思っていたって、、、
嘘だってわかっていた。
重いくらいの罪の意識を感じて、、、
咄嗟に友達でいようって。」
「東吾さんは狡い。
長内さんが可哀想って、自分は何様なの?
それに、長内さんもそんな東吾さんの側にいて
報われない想いに、悩みながらも、
幼馴染の婚約者を振り回して。」
「そうだな。
俺が一番悪い。
別れてから友達である必要なんて
どこにもなかったんだ。
違和感がありながらも、
いつもそばにいる長内に
慣れ切ってしまっていた。
それに、長内に申し訳ないという気持ちが、
どこかにあって、、、
頼られれば、断れなくなっていた。」
東吾さんの優しさ、、、
優柔不断な気持ちに長内さんはつけ込んだ、、、
と私は意地悪く見てしまった。
「東吾さんが私と結婚したことも、
彼女の中では認められない
ことだったんでしょうね。」