揺るぎのない愛と届かない気持ち
紗英へ許しを乞う 〜東吾
長内は俺の結婚を認められなかった。
「そうかもしれない。
自分では自分の気持ちに蓋をしていたが、
時々我慢ができなくて、
その蓋が開く時もあったと言っていた。」
長内がそのことを俺に話したあの日を
思い出していた。
苦しげに言っていた長内。
「東吾さんを呼び出したり、
会社の終了後飲みに誘ったり、、、
ランチも一緒だったんでしょう。」
「俺が社食の日は、大概長内がいた。
でも、
向こうのメンバーとこちらのメンバーがいて、
二人きりというのは
そうそうなかったと思う。」
「長内さんがね、、、」
紗英が言い澱んだ。
「以前に私が東吾さんに、
お弁当を作っていた時期があったでしょ。」
「紗英が俺のために弁当を作ってくれるって、
ものすごく嬉しかったけど、
ある時から作らなくなって。。。」
紗英の、彩もよく、美しい弁当を周りに
自慢しながら食べた弁当。
毎日昼になるのが待ち遠しくなるほどだった。
確か、
入籍だけして一緒に住み始めた結婚式前の一時期だった。
お義父さんが、結婚式を挙げてから
一緒に住めと、怒ってあったな。。。
「東吾さんが帰って来て、おいしかったよって、
言ってくれることが嬉しかった。
渡された空のお弁当箱は
ざっとしか洗ってなくって、
また、洗いが必要だったのに、
隅から隅まできれいに洗ってあった日が
あって。。。」
思い出して。
そして
焦った。
「私が今日は丁寧に洗ってあるのねって、
言ったら、
東吾さんは、キョトンとしながらも
慌てたように、
洗うところを見ていた部下の女の子から、
きれいに洗わないと
奥さんに申し訳ないですよって、言われて、
それで洗い直したんだ。って。」
「。。。。。」
「あれ、嘘でしょ」
「。。。。。」
「私、初め何か引っかかるものがあったけど、
あれからお弁当箱が
毎回きれいに洗ってあるから、
そのうちそういうことも忘れていたの。
毎日の美味しい、ありがとうというフレーズに
喜びだけしかなかった。」
それがどうして嘘だって、、、
「結婚式の日、長内さんから、
東吾は疲れると喉にくるから
気をつけてって
お味噌汁の具で好きなのは、
なんて言われた時、
この人は東吾さんの近くにいた人で、
今でも好きなんだなって、
わかった。」
落ち着かない。
俺の嘘なんて、すでにお見通しだろう。
「でも、それだけではないのよ。。。」
「え、、、、?」
「あのあと、私の周りから人が途切れるのを
待っていたかのように
彼女がやってきて、、、
東吾は甘い卵焼きが好きなの。
紗英さんのはしょっぱいのねって。。。
東吾がお昼にお弁当を食べられない時は、
私が食べてあげていたの。
きれいなお弁当を作る人だな、
東吾も幸せねって思っているの。
東吾の好きなもの、ちゃんと作ってあげてね。
ですって。」
「。。。。。」
「いくら元恋人だって、その人の結婚式で
しかも
何も知らない花嫁の前で
夫の名前を呼び捨にしながら話すこと?」
長内が紗英にそんなことを
言っていただなんて。。。
「どうして、長内さんにお弁当をあげったって
言わなかったの?
そうしたら、
私は東吾さんと彼女との距離が嫌だと、
はっきりと言えたのに。
あなたは友達と言っているけど、
彼女はそう思っていないって
言えたのに。」
「ごめん。
弁当は
昼にどうしても出ていかなければいけない
仕事があって、
たまたま
社食に行く長内と会って、
お弁当どうするのって聞かれたから、
帰ってから食べるって言ったら、
そんなの傷むわよって。
自分が食べてあげるからって。
その時は何も考えずに、
ありがたいと思って、、、
でも、会社に帰って長内が空のお弁当箱を
届けてくれたときに
同僚から後で、奥さんにバレたら、ことですよって。
女の子からもありえない行為ですって。後輩の男の子なら
いざ知らずって。。。
そうなのかと思って、、、
それで、帰ってからも紗英に言えなかった。
でも、それっきりだ!
長内に紗英のお弁当を食べさせたのは。」
「言われて初めて気づくなんて、、、
東吾さんはやっぱりおかしい。
私は長内さんから言われて、
2度と東吾さんにお弁当を作らないし、
卵焼きも作らないことにしたの。
長内さんのあの勝ち誇った顔が、、、
私もちゃんと嫉妬するの。
東吾さん、
私は何も根拠がないことで嫉妬なんかしない。
彼女は、そんな嫉妬する私より、
自分と一緒に重ねた年月に
あなたが
重きを置いているって、
自信があったのね。
あの長内さんの勝ち誇った顔を
思い出すたびに、
胸がかきむしられるように辛い。」
紗英に許しを乞うどころか、
自分の
情けないほどの自分の考えの甘さに、
打ちひしがれてしまった。
「そうかもしれない。
自分では自分の気持ちに蓋をしていたが、
時々我慢ができなくて、
その蓋が開く時もあったと言っていた。」
長内がそのことを俺に話したあの日を
思い出していた。
苦しげに言っていた長内。
「東吾さんを呼び出したり、
会社の終了後飲みに誘ったり、、、
ランチも一緒だったんでしょう。」
「俺が社食の日は、大概長内がいた。
でも、
向こうのメンバーとこちらのメンバーがいて、
二人きりというのは
そうそうなかったと思う。」
「長内さんがね、、、」
紗英が言い澱んだ。
「以前に私が東吾さんに、
お弁当を作っていた時期があったでしょ。」
「紗英が俺のために弁当を作ってくれるって、
ものすごく嬉しかったけど、
ある時から作らなくなって。。。」
紗英の、彩もよく、美しい弁当を周りに
自慢しながら食べた弁当。
毎日昼になるのが待ち遠しくなるほどだった。
確か、
入籍だけして一緒に住み始めた結婚式前の一時期だった。
お義父さんが、結婚式を挙げてから
一緒に住めと、怒ってあったな。。。
「東吾さんが帰って来て、おいしかったよって、
言ってくれることが嬉しかった。
渡された空のお弁当箱は
ざっとしか洗ってなくって、
また、洗いが必要だったのに、
隅から隅まできれいに洗ってあった日が
あって。。。」
思い出して。
そして
焦った。
「私が今日は丁寧に洗ってあるのねって、
言ったら、
東吾さんは、キョトンとしながらも
慌てたように、
洗うところを見ていた部下の女の子から、
きれいに洗わないと
奥さんに申し訳ないですよって、言われて、
それで洗い直したんだ。って。」
「。。。。。」
「あれ、嘘でしょ」
「。。。。。」
「私、初め何か引っかかるものがあったけど、
あれからお弁当箱が
毎回きれいに洗ってあるから、
そのうちそういうことも忘れていたの。
毎日の美味しい、ありがとうというフレーズに
喜びだけしかなかった。」
それがどうして嘘だって、、、
「結婚式の日、長内さんから、
東吾は疲れると喉にくるから
気をつけてって
お味噌汁の具で好きなのは、
なんて言われた時、
この人は東吾さんの近くにいた人で、
今でも好きなんだなって、
わかった。」
落ち着かない。
俺の嘘なんて、すでにお見通しだろう。
「でも、それだけではないのよ。。。」
「え、、、、?」
「あのあと、私の周りから人が途切れるのを
待っていたかのように
彼女がやってきて、、、
東吾は甘い卵焼きが好きなの。
紗英さんのはしょっぱいのねって。。。
東吾がお昼にお弁当を食べられない時は、
私が食べてあげていたの。
きれいなお弁当を作る人だな、
東吾も幸せねって思っているの。
東吾の好きなもの、ちゃんと作ってあげてね。
ですって。」
「。。。。。」
「いくら元恋人だって、その人の結婚式で
しかも
何も知らない花嫁の前で
夫の名前を呼び捨にしながら話すこと?」
長内が紗英にそんなことを
言っていただなんて。。。
「どうして、長内さんにお弁当をあげったって
言わなかったの?
そうしたら、
私は東吾さんと彼女との距離が嫌だと、
はっきりと言えたのに。
あなたは友達と言っているけど、
彼女はそう思っていないって
言えたのに。」
「ごめん。
弁当は
昼にどうしても出ていかなければいけない
仕事があって、
たまたま
社食に行く長内と会って、
お弁当どうするのって聞かれたから、
帰ってから食べるって言ったら、
そんなの傷むわよって。
自分が食べてあげるからって。
その時は何も考えずに、
ありがたいと思って、、、
でも、会社に帰って長内が空のお弁当箱を
届けてくれたときに
同僚から後で、奥さんにバレたら、ことですよって。
女の子からもありえない行為ですって。後輩の男の子なら
いざ知らずって。。。
そうなのかと思って、、、
それで、帰ってからも紗英に言えなかった。
でも、それっきりだ!
長内に紗英のお弁当を食べさせたのは。」
「言われて初めて気づくなんて、、、
東吾さんはやっぱりおかしい。
私は長内さんから言われて、
2度と東吾さんにお弁当を作らないし、
卵焼きも作らないことにしたの。
長内さんのあの勝ち誇った顔が、、、
私もちゃんと嫉妬するの。
東吾さん、
私は何も根拠がないことで嫉妬なんかしない。
彼女は、そんな嫉妬する私より、
自分と一緒に重ねた年月に
あなたが
重きを置いているって、
自信があったのね。
あの長内さんの勝ち誇った顔を
思い出すたびに、
胸がかきむしられるように辛い。」
紗英に許しを乞うどころか、
自分の
情けないほどの自分の考えの甘さに、
打ちひしがれてしまった。