揺るぎのない愛と届かない気持ち
私は話せば話すほど、
自分がどうしたいのか分からないでいた。

このまま離婚しても、また一緒になっとしても、
どちらにしても自分が選択した
人生ではないような気がしていた。

じっくりと考えたい。

東吾さんが痺れを切らして、
他の人との人生を選ぶのだったら、
それはそれで
仕方がないことかもしれない。
とも思っている。

それでも、自分でしっかりと考えたかった。
どうしたらいいのか。

「紗英が結論を出すまで会えないのか。
悠にも会えない?」

「私はじっくりと考えたい。
でも、悠はあなたの子供だし、
会いたいって言えば
もちろん会わせたい。
ただ、
まだ小さいから
月に一度くらいになるかもしれないけど、、、」

「それでもいい、会えるのなら。
自分でどこまでできるか分からないけど、
紗英が悠を預かってて言えば、
俺が面倒を見る。
子供の面倒が見られる父親でありたい。」

「そう?

私はまだ乳飲児の悠を預ける気はないけど、
悠と会うことを拒否したりはしない。

ただ、あなたと二人きりにはできないから、
誰か付き添いがいることになるし、
悠の体調やお天気などで断ることも
あるかもしれない。

それでもいい?」

「それでも
あの子の成長を、見たい。」

私は深くため息をついた。

「東吾さんのことを考えると、
長内さんの顔が浮かぶ、、、
あの日の二人の姿が浮かんで、
私はどうしようもなくなってしまう。

一生消えない記憶、、、」

「紗英、、、ごめん。。。
ごめん。。。」

私は目の前の夫を以前のように
信じて愛する時が
また
来るのだろうか。

わからない。

考えると言ったところで、
起きてしまったことはもうなしにはできない。
今でも
あの日の光景が、深く心を抉る。

どうしたいのだろう、私。
どうしようと思っているのだろう、私。


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