揺るぎのない愛と届かない気持ち
突きつけられた離婚 〜東吾と紗英
紗英と会い、悠と初めて会った日、
結局紗英からは’離婚’という
現実を突きつけられ
何とか、考え直してくれと懇願し、
結果、先延ばしにしかならない約束を
取り付けただけだった。
帰り際に、もう一度悠を抱かせてもらった。
頼りないほどに小さく
一人では到底生きてはいけない嬰児。
本当だったら
紗英と二人して、育児にあたふたとしながらも
それはそれで幸せな時間を過ごしている
はずだった。
いいかっこしいの外面ばかりの俺に、
鉄槌が降りたことに違いないことだが、
紗英と悠とを巻き添いにすることは
なかったはずだ。
夫として父親として、
俺が一生背負わなければいけない罪。
全力で二人を愛し、守って行きたい。
が
紗英は俺のことを受け入れてはくれない。
いつか
二人と一緒に暮らせるようになるまで
今できることを
一つずつ積み重ねていこう。
俺は間髪を入れずに、新しく出直すために、
行動した。
手始めに
紗英と住んでいたマンションを
退去することにした。
自分もあのマンションへ帰りたいとは
思わなかった。
忌まわしい思い出しかないマンションへ。
紗英の荷物も本人に断って、
自分の希望だが、
高木の家に戻すことなく、
移転先のマンションへ運ぶことにした。
いつでも紗英と悠が帰って来れるように。
ベッド、リビングのソファなどの
家具は処分した。
もちろん寝具も、、、
紗英があの日のことを思い出さないで
いいように。
カーテンもカーペットも
あの日の寝室とリビングに繋がるものは
全て一新した。
前々から考えていたことだが、
会社も辞める。
とりあえず辞める。
会社の居心地は悪くはなかった。
待遇も良かった。
もっとここで
頑張ろうと思っていたが、
心機一転、
仕切り直しをするいい機会かもしれないと考えて
次がまだ決まっていないのに、
辞めることを先行させた。
これから起業するか、
ハンティングの話に乗って転職することも
視野に入れていた。
退職届を出した翌日、
それまでに上役から執拗に、
引き止められたが、
俺の決心が揺らがないと、諦めてくれて、
やっと届けを出した
その翌日だ。
もう、俺が会社を辞めるという話が、
長内の耳に入ったのだろう。
会わないと約束したにもかかわらず、
同じ会社にいてそんなことは
無理な話なのだが、
長内に会社帰りのところを捕まった。
「東吾、会社を辞めるって、、、」
「もう耳に入っているのか?
昨日退職届を出したばかりなのに、、、」
「私のせいなんでしょ!」
顔色をなくした長内が俺に尋ねた。
「冷静になれよ。社内の人間も大勢いる中で、
そんな不用意なことを口にしないで欲しい。」
俺は心底迷惑そうに言った。
「それに長内のせいではない。
長内がきっかけにはなったが、
いずれ退職をするつもりだった。」
俺は立ち止まらずに歩きながら答えた。
長内はそんな俺の横に並ぶと、
俺の腕に手をかけて立ち止まらせた。
「今までは、
ちゃんといつも相談してくれていたじゃない。
それを急に辞めるなんて、
私が東吾の人生を狂わせたの?」
「。。。。。
長内。
俺の人生を左右できるのは紗英だけだ。
もう
かかわらないって、あの日言ったよな。
その手も誤解されそうだから、
どかしてくれないか?」
「東吾、、、」
長内の瞳が悲しそうに揺らぐ。
「もう一度言う。
俺たちの道は交差しない。
これから先ずっと、、、
元気でな。」
長内の手を静かに退けると、そのまま俺は歩いて行った。
もう
紗英に誤解されそうなことはしたくなかった。
マンションを移転することも、
会社を辞めることも全て
紗英には報告していた。
今日の長内との話も
きちんと話しておこうと思う。
紗英はいい気持ちはしないかもしれないが。
長内に自分の心は少しも動かされない。
それを紗英にわかってもらいたい。
結局紗英からは’離婚’という
現実を突きつけられ
何とか、考え直してくれと懇願し、
結果、先延ばしにしかならない約束を
取り付けただけだった。
帰り際に、もう一度悠を抱かせてもらった。
頼りないほどに小さく
一人では到底生きてはいけない嬰児。
本当だったら
紗英と二人して、育児にあたふたとしながらも
それはそれで幸せな時間を過ごしている
はずだった。
いいかっこしいの外面ばかりの俺に、
鉄槌が降りたことに違いないことだが、
紗英と悠とを巻き添いにすることは
なかったはずだ。
夫として父親として、
俺が一生背負わなければいけない罪。
全力で二人を愛し、守って行きたい。
が
紗英は俺のことを受け入れてはくれない。
いつか
二人と一緒に暮らせるようになるまで
今できることを
一つずつ積み重ねていこう。
俺は間髪を入れずに、新しく出直すために、
行動した。
手始めに
紗英と住んでいたマンションを
退去することにした。
自分もあのマンションへ帰りたいとは
思わなかった。
忌まわしい思い出しかないマンションへ。
紗英の荷物も本人に断って、
自分の希望だが、
高木の家に戻すことなく、
移転先のマンションへ運ぶことにした。
いつでも紗英と悠が帰って来れるように。
ベッド、リビングのソファなどの
家具は処分した。
もちろん寝具も、、、
紗英があの日のことを思い出さないで
いいように。
カーテンもカーペットも
あの日の寝室とリビングに繋がるものは
全て一新した。
前々から考えていたことだが、
会社も辞める。
とりあえず辞める。
会社の居心地は悪くはなかった。
待遇も良かった。
もっとここで
頑張ろうと思っていたが、
心機一転、
仕切り直しをするいい機会かもしれないと考えて
次がまだ決まっていないのに、
辞めることを先行させた。
これから起業するか、
ハンティングの話に乗って転職することも
視野に入れていた。
退職届を出した翌日、
それまでに上役から執拗に、
引き止められたが、
俺の決心が揺らがないと、諦めてくれて、
やっと届けを出した
その翌日だ。
もう、俺が会社を辞めるという話が、
長内の耳に入ったのだろう。
会わないと約束したにもかかわらず、
同じ会社にいてそんなことは
無理な話なのだが、
長内に会社帰りのところを捕まった。
「東吾、会社を辞めるって、、、」
「もう耳に入っているのか?
昨日退職届を出したばかりなのに、、、」
「私のせいなんでしょ!」
顔色をなくした長内が俺に尋ねた。
「冷静になれよ。社内の人間も大勢いる中で、
そんな不用意なことを口にしないで欲しい。」
俺は心底迷惑そうに言った。
「それに長内のせいではない。
長内がきっかけにはなったが、
いずれ退職をするつもりだった。」
俺は立ち止まらずに歩きながら答えた。
長内はそんな俺の横に並ぶと、
俺の腕に手をかけて立ち止まらせた。
「今までは、
ちゃんといつも相談してくれていたじゃない。
それを急に辞めるなんて、
私が東吾の人生を狂わせたの?」
「。。。。。
長内。
俺の人生を左右できるのは紗英だけだ。
もう
かかわらないって、あの日言ったよな。
その手も誤解されそうだから、
どかしてくれないか?」
「東吾、、、」
長内の瞳が悲しそうに揺らぐ。
「もう一度言う。
俺たちの道は交差しない。
これから先ずっと、、、
元気でな。」
長内の手を静かに退けると、そのまま俺は歩いて行った。
もう
紗英に誤解されそうなことはしたくなかった。
マンションを移転することも、
会社を辞めることも全て
紗英には報告していた。
今日の長内との話も
きちんと話しておこうと思う。
紗英はいい気持ちはしないかもしれないが。
長内に自分の心は少しも動かされない。
それを紗英にわかってもらいたい。