揺るぎのない愛と届かない気持ち
そうなんだ。
お義母さんは長内のことでもいろいろと
心を砕いてもらっている。
きっと
長内が出所してきた時に、
支えとなれるよう
彼女を勘当した両親に
話をされたのだと思う。
「長内さんが出所された時か、
刑が確定された時、執行猶予がついたとき、
そのどの場合でも、
やはり彼女の精神状態が不安定だったら、
また、
今回のことのようなことが、起こらないとも限らない。
親として、悠の祖父母として、
私も夫もとても心配なの。
それでね、私たちは紗英と悠を海外にやろうと
思っているの。
もちろん、誰ひとり知らないようなところへは
やらないけど。
きちんと守られたところへ。」
えっ、
この後に及んで紗英たちと引き離されるのか。
紗英たちの安全を考えたら
そうかもしれないが、
俺は別れたくない。
一緒にいたい。
「そんなに悲壮な顔をしなさんな。
あなたの頑張り次第で、紗英の婿だって、
認めてあげるから。」
「えっ?」
「紗英に危険なお産をさせたこと。
私と夫にとって、許し難い事項に入っているの。
けど、
今回の件で、あなたがきっかけとは言え、
身を挺して紗英を守ってくれたことで
私たちは許してもいいんじゃないかと、、、
紗英の気持ちは別だけどね。
私たちがあなたを許す条件は、、、、」
紗英さえ許してくれたいい、
という自分の考えの甘さを思い知ったのと、
これからその条件に何を言われるのだろうかと、
心臓が嫌な動きをし始めた。
「うちには男の子で慶がいるわ。
でも、あの子は自分の意志で医者になることを
選択した。
夫の弁護士事務所は、彼が作り上げたもの。
自分の代で終わってもいいし、優秀な部下も
育っているからいずれはその中から、
パートナーを選んでもいいと言っている。
では
高木の家の仕事は?
先代は私を見込んでくれて、
一切を引き渡してくれた。
ただ
家の管理や資産の管理だけの仕事では
ないって、ご存知よね。」
高木の家の仕事は
ちょっとした総合商社的なところがあった。
その中のいくつかは、効率よく廃止され、
吸収合併され
売り渡され、、、
そういう煩雑な仕事をお義母さんは
見事にこなしながら、
決して大きくはないが、
堅実な、
世間が一目置く会社へと
育てられた。
「あなたにね、
高木の仕事を引き継いでほしいの。」
「はぁっ!!」
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。」
「でも自分は、お義母さんのように
会社経営センスとか、ありませんし、、、」
「それはこれから、見させてもらうわ。
まずは、留学して経営センスの第一歩を
身につけてきて。
私たちが留学先にと考えているところに
高木の家と長年の交流があるお宅があるの。
学校へ行きながら、そちらの会社でインターンをして、
勉強してきて。
とても
大変だと思うのよ。
紗英と悠も守らないといけなし、、、ね。」
お義母さんがニヤリと笑われた。
「お義母さん、、、紗英と悠と一緒にいても
いいんですか?」
「紗英が同じところに住むのか、
近くに住むのか、
そのことはあの子次第。
それよりも、、、」
お義母さんは言葉を切って、
じっと俺を見つめた。
こういう時が本当に背中に汗が流れるように
緊張してしまう瞬間だ。
「こちらが指定した学校へ行くこと。
第一条件ね。
今日中に入学試験に必要な勉強、
および勉強先を調べてすぐに
行動に移しなさい。
この条件を飲んでくれるなら、、、
もし、ダメだったらなんて
甘いことは許されません。
あなたの後ろに道はない。
真っ逆さまに落ちる崖があるのみ。
まぁ、いい歳をしているけど、
よそ様のお子様だからきちんと
篠原のご両親様にも了承を得ています。
答えは、
煮て食おうと焼いて食おうと、お好きに
料理してください。
不味かったら、捨ててください。とのことよ。」
自分は大人になったつもりでいた。
全てを決めて、
愛する人と結婚して
子供もできて、、、
でも
完璧とも言える大人を目の前にして
自分の未熟さがつくづくと思い知らされる。
「わかりました。
自分を鍛え直して、自分以外に紗英の婿はいないと、
思ってもらえるよう、頑張ります。」
「そうね。
それで帰国してからは私からの指導が
待っている。
留学生活の方が愉しかったって
思えるかもね。
あなたは即答した、後で前言撤回はなしよ。
さぁ、
時間がもったいないわ。
今から動きなさい。
知り合いを駆使して情報を集めて、
明日にはもう勉強を始めることが
できるようにね。」
「はい。」
ニンマリと笑われるその顔が怖かった。
しかし
約束した。
ちゃんと約束した。
お義母さんは長内のことでもいろいろと
心を砕いてもらっている。
きっと
長内が出所してきた時に、
支えとなれるよう
彼女を勘当した両親に
話をされたのだと思う。
「長内さんが出所された時か、
刑が確定された時、執行猶予がついたとき、
そのどの場合でも、
やはり彼女の精神状態が不安定だったら、
また、
今回のことのようなことが、起こらないとも限らない。
親として、悠の祖父母として、
私も夫もとても心配なの。
それでね、私たちは紗英と悠を海外にやろうと
思っているの。
もちろん、誰ひとり知らないようなところへは
やらないけど。
きちんと守られたところへ。」
えっ、
この後に及んで紗英たちと引き離されるのか。
紗英たちの安全を考えたら
そうかもしれないが、
俺は別れたくない。
一緒にいたい。
「そんなに悲壮な顔をしなさんな。
あなたの頑張り次第で、紗英の婿だって、
認めてあげるから。」
「えっ?」
「紗英に危険なお産をさせたこと。
私と夫にとって、許し難い事項に入っているの。
けど、
今回の件で、あなたがきっかけとは言え、
身を挺して紗英を守ってくれたことで
私たちは許してもいいんじゃないかと、、、
紗英の気持ちは別だけどね。
私たちがあなたを許す条件は、、、、」
紗英さえ許してくれたいい、
という自分の考えの甘さを思い知ったのと、
これからその条件に何を言われるのだろうかと、
心臓が嫌な動きをし始めた。
「うちには男の子で慶がいるわ。
でも、あの子は自分の意志で医者になることを
選択した。
夫の弁護士事務所は、彼が作り上げたもの。
自分の代で終わってもいいし、優秀な部下も
育っているからいずれはその中から、
パートナーを選んでもいいと言っている。
では
高木の家の仕事は?
先代は私を見込んでくれて、
一切を引き渡してくれた。
ただ
家の管理や資産の管理だけの仕事では
ないって、ご存知よね。」
高木の家の仕事は
ちょっとした総合商社的なところがあった。
その中のいくつかは、効率よく廃止され、
吸収合併され
売り渡され、、、
そういう煩雑な仕事をお義母さんは
見事にこなしながら、
決して大きくはないが、
堅実な、
世間が一目置く会社へと
育てられた。
「あなたにね、
高木の仕事を引き継いでほしいの。」
「はぁっ!!」
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。」
「でも自分は、お義母さんのように
会社経営センスとか、ありませんし、、、」
「それはこれから、見させてもらうわ。
まずは、留学して経営センスの第一歩を
身につけてきて。
私たちが留学先にと考えているところに
高木の家と長年の交流があるお宅があるの。
学校へ行きながら、そちらの会社でインターンをして、
勉強してきて。
とても
大変だと思うのよ。
紗英と悠も守らないといけなし、、、ね。」
お義母さんがニヤリと笑われた。
「お義母さん、、、紗英と悠と一緒にいても
いいんですか?」
「紗英が同じところに住むのか、
近くに住むのか、
そのことはあの子次第。
それよりも、、、」
お義母さんは言葉を切って、
じっと俺を見つめた。
こういう時が本当に背中に汗が流れるように
緊張してしまう瞬間だ。
「こちらが指定した学校へ行くこと。
第一条件ね。
今日中に入学試験に必要な勉強、
および勉強先を調べてすぐに
行動に移しなさい。
この条件を飲んでくれるなら、、、
もし、ダメだったらなんて
甘いことは許されません。
あなたの後ろに道はない。
真っ逆さまに落ちる崖があるのみ。
まぁ、いい歳をしているけど、
よそ様のお子様だからきちんと
篠原のご両親様にも了承を得ています。
答えは、
煮て食おうと焼いて食おうと、お好きに
料理してください。
不味かったら、捨ててください。とのことよ。」
自分は大人になったつもりでいた。
全てを決めて、
愛する人と結婚して
子供もできて、、、
でも
完璧とも言える大人を目の前にして
自分の未熟さがつくづくと思い知らされる。
「わかりました。
自分を鍛え直して、自分以外に紗英の婿はいないと、
思ってもらえるよう、頑張ります。」
「そうね。
それで帰国してからは私からの指導が
待っている。
留学生活の方が愉しかったって
思えるかもね。
あなたは即答した、後で前言撤回はなしよ。
さぁ、
時間がもったいないわ。
今から動きなさい。
知り合いを駆使して情報を集めて、
明日にはもう勉強を始めることが
できるようにね。」
「はい。」
ニンマリと笑われるその顔が怖かった。
しかし
約束した。
ちゃんと約束した。