きょうだい愛


デート、楽しかったな。おにいちゃん、最初から最後までかっこよかったな。

結局、どうして彼女にふられるのかわかんなかったな。

わたしだったら一回でも手に入れられたら、絶対に手放さないのにな。


……キスができたら最高に幸せだったんだろうな。


義理とはいえ兄妹だから、真面目なおにいちゃんがキスしてくれるとは思わないけれど。

もしかしたら可愛い義妹のおねだりだったら……今日だけカップルという特別な時間の中だったら、一回くらいしてくれたかもしれない。

優しいおにいちゃんは思い出をくれたかもしれない。


「……おにいちゃん」

「ちっ。またあいつを呼ぶのかよ!お前は俺のものだって何回も言ってるだろ!!」

「……ち、がう」

「もっと教え込んでやらないといけないみたいだな?深いところまで俺を刻み込んで、徹底的に躾けてやるよ」


瞳を濁らせたストーカーが怖い顔をしたままわたしのワンピースの裾に手をかけ、それを勢いよく上まで捲り上げようとしたそのとき。


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