きょうだい愛


そんな僕はきっと女の敵とやらになるんだと思う。

しかし、普段の行いがいいと僕の存在は絶対的な善になるらしく、別れた彼女が周りに僕の悪口を言おうとそれを信じる者はいなかった。

僕の評判なんて結衣に嫌われさえしなければなんでもいいんだけどね。


『……おにいちゃん、たすけて』


結衣の弱々しい声が機械を通してイヤホンから聞こえてきたとき、不謹慎にも喜びを感じた。

結衣の中の一番の存在が僕なのだと強く実感できたから。

長い間渇望していたものがようやく手に入ったことに口元が緩むのを抑えられなかった。


『わたしをおにいちゃんのところに返して……』

『わたしはあんたのものじゃない!』


その後ろに“わたしはおにいちゃんのものだ!”という言葉が続くような気がして、結衣自身も自分は僕のものだと思ってくれているんだとわかった。

結衣は僕のものになることを望んでいる……僕たちはきっと両想いなんだ。

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