課長と私のほのぼの婚
アングルを変えて、何枚も撮ってもらった。フォルダーを確認すると、イメージどおりの写真がずらりと並んでいる。


「すごい、いい感じに撮れてる! 課長、お上手なんですね」

「そ、そうかな?」


照れる課長を見て、冬美はほっこりする。やっぱりこの人は良い。


「よかったら、私もお撮りしますよ?」

「いやあ、僕はいいですよ。見せる相手もいないし」

「そんなこと言わずに。あっ、私と一枚どうですか? 一緒に旅をした記念に」

「えっ、二人で?」


課長はますます照れるが、それならと提案を受け入れた。


「でも、スマホをセットする場所がないですね……じゃあ、こうしましょう」

「え……」


ぽかんとする課長に寄り添い、腕を伸ばしてスマートフォンを構える。


「こ、この体勢で撮るってことですか?」

「そうですよ。近いけど、我慢してください」

「いや、僕はいいけど……」

「よしっ、撮りますよ。課長、早くカメラ目線お願いします。手が痺れちゃいます」

「は、はい」


青い海をバックに、意外なほど爽やかなツーショットが撮れた。


「課長のスマホに送ります。いいですか?」

< 30 / 51 >

この作品をシェア

pagetop