課長と私のほのぼの婚
「はい。彼は周りの人に、よく部下の話をします。特に野口さんについてが多く、いつだったかランチルームで相席したときも、きみのことを語ってくれました」

「はああ?」


間宮課長はお喋りだ。しかも、どこか他人をバカにした話し方をするので、周りに良く思われていない。舘林課長のことも偉そうに噂していた。


(でも、なんで私のことばかり多く話すの?)


あ然とする冬美に、課長が急いで付け足す。


「あの人は口が悪いので誤解されがちですが、実のところ、話題にするのは気に入った人とか、可愛がっている部下についてです。お喋りは愛情の裏返しなんですね」

「そ、そうなんですかねえ……??」


好意的すぎる解釈に疑問符がつくが、課長は大真面目だ。とりあえず、そういうことにしておいて、続きに耳を傾ける。


「それで、野口さんのことを僕は少々知っていたのです。間宮くんによると、きみはアイドルを追いかけるために会社を休み、給料やボーナスもその趣味に浪費しているようだ。あと、食欲旺盛で、飲み会になると人の二倍は食べるとか」

「はいい!?」


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