課長と私のほのぼの婚
「声をかけたのは、きみが心配だったから。黒船電車は下田行き。傷心旅行であるのは明白であり、もしものことがあってはいけない。だからといって、いきなり励ますのも無神経だと考えて、事情を知らないふりで接しました。謝ります」

「そんな、とんでもない。私は今日、課長に救われました。自分の幸せがなんなのか再確認して、いちばん良い形で気持ちの整理ができたんです」


きらきらと輝く白浜の海を思い出す。課長がいてくれたから、新たな一歩を踏み出せたのだ。


「そうか……ありがとう、野口さん」


お礼を言うのは私のほうなのに、変な人。

冬美はしかし、笑顔だけ返した。

課長になら、それで十分伝わると感じだから。


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