私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
『菜々美…。』
後悔はしたくないと決めたとたん、彼女の事が気になってきた。
中塚は、滅多に無い事だが広報部へ菜々美の顔を見に行こうと思い立つ。
もうすぐ昼だから、ランチに誘ってみようか。
アイツの事だから、体調を誤魔化して働いているんだろう。
普通でも働き過ぎなんだから、今は身体を一番に考えないと…。
あれこれ考えながら広報部のドアから覗くと、案の定、青白い顔色の菜々美が働いていた。
「よっ、瀬川。」
「あら、中塚。珍しいわね。」
この前会ったばかりだが、菜々美はわざとらしく挨拶した。
同期とはいえ、男と女だ。部署内の視線を気にしているんだろう。
「…チョッと、話せる?ランチどう?」
「ランチ?」
「廊下で待ってる。」
すぐに、菜々美がバッグを持って出て来た。
「お前、顔色悪いぞ。体調、大丈夫か?」
「貧血かな?今日は定時で上がろうと思ってる。」