私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


「君は…。」

「以前お会いしましたね、菜々美の同期、中塚と言います。」

「中塚が、要さんに?どうして?」

「うん…ゴメン。菜々美が心配だから何かあったらすぐ知らせてくれって頼まれてたんだ。」

二人の親密そうな会話を聞いて、同期だと知っていても奏佑は不愉快だ。

「彼女の診察をしたいんだ。上がってもいいかな?」

「どうぞ。」

中塚に促されて部屋に入れたのは癪に障ったが、黙って彼について行く。

奏佑が部屋の中を見ると、想像したより広く内装は新しい。
瑠美が言っていた言葉が頭を過る。そう思われても仕方が無いかもしれない。

確かに、会社勤めの30前の女性が購入するにしては立派なマンションだ。

「ここは、君が買ったのか?」

「あなたが、どうしてそんな事を気にするの?」
「どうしてって…。心配して…。」

一歩、奏佑が菜々美に詰め寄ると、彼女は一歩退いた。

「君が鳴尾家の人達から酷い事を言われているのは知ってる。」

「え?」


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