私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
「瀬川さん、こちらが貴女のお祖父様、鳴尾恒三様でございます。」
「初めまして。瀬川菜々美です。」
菜々美は一応、椅子から立って一礼した。
年長者を敬う姿勢は大切だ。
上条がメンバーを紹介したが、後の人達には座ったまま簡単に目礼するに留めた。
「瀬川菜々美さん、貴女を随分と探しましたよ…。」
老人が呟いた時、応接室のドアが開いて先程の割烹着姿の女性がワゴンで茶を運んできた。
またまた、いつもの癖で菜々美は腰を上げ手伝おうとする。
「本日はお客様ですから、お座りになっていて下さいませ。」
小声で女性に諭され、菜々美は腰掛けた。
菜々美の様子を高村はじっと観察している。
その視線には菜々美も気がついていたが、無視していた。
瑠美は菜々美には不満そうな視線を向けるが、高村を時折、熱っぽく見つめている。
『…なんだ、そういう事…。』
瑠美の不貞腐れている表情を見て、菜々美は心の中で呟いた。
高村と瑠美にどんな関係があるのか知らないが、自分を巻き込まないでくれと言いたかった。