私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
奏佑は恒三の方へゆっくり歩むと、ベッドサイドに立って彼に一礼した。
「突然のご無礼をお許しください。」
「急に改まって。何だい?脇坂先生。」
恒三の目が悪戯っ子のようにキラキラしている。
「お孫さん、菜々美さんとの結婚をお許しいただきたいと思いまして。」
「フオッフォッフォッ…これは目出度い話じゃあないか!」
「脇坂先生!突然何をおっしゃるんですか!」
いきなりの申し込みに菜々美は慌てた。
「君が嘘をつくからじゃあないか!何が貧血だ!」
「それは…。」
「軽い脱水症状もある。すぐ、点滴しよう。」
菜々美の腕を奏佑が掴んだ。もう、逃がさないとでも言う様に。
「鳴尾さん、暫く菜々美をお借りします。」
恒三はウンウンと笑顔で頷いた。