私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
奏佑は恒三の病室を出ると、向かい側の部屋へ菜々美を連れ込んだ。
そこは入院用のベッドの準備が整った部屋で、点滴の薬剤まで用意されていた。
「横になって。」
彼に引っ張られるようにして、そのまま胸に倒れ込むと、
奏佑は菜々美を抱きかかえて洋服のままベッドに横たえた。
黙々と薬剤の準備から針を刺してルートを確保するまでこなしている。
医者としての奏佑の顔を、菜々美はじっと見つめた。
「妊娠している事、何で黙っていたんだ!」
点滴薬が落ちるスピードを調節しながら、奏佑は怒っていた。
「それは…。」
「俺だって、君に会ってゆっくり話したかったのに…。
妊娠がわかったんなら、君から知らせてくれてもいいじゃないか。」
「あなたこそ、何日も私に連絡くれなかったわ。」
「仕事が忙しくてどうにもならなかったんだ。」