私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
「そんな…。ずっと連絡を待ってたのに、ただ仕事が忙しかっただけだなんて。」
「本当だ。仕事が重なって…。」
「私は遊ばれたのかもって、私に会いたくないんだと思って…。」
「そんな馬鹿な!」
「だから、この子は独りで育てようと思ってたの。」
菜々美は奏佑に背を向けた。涙が零れそうな顔を見られたくなかったのだ。
「すまなかった、菜々美。でも信じてくれ、遊びなんかじゃない。
ずっと後悔していたんだ…この10年、ずっと君に会いたかった。」
菜々美は奏佑の告白を聞いて、目を見開いた。
「ウソ…。」
「嘘じゃない!」
奏佑は菜々美の身体をそっと自分の方へ向けた。再び視線が絡まる。
「前にもそんな事を言われましたね。私が鳴尾家の関係者だって知ったから、
おじい様の担当だから言ってるだけでしょう?」
「10年前は、素直になれなくて。君を拒絶して…後悔したんだ。」
「そんな事あるはずないわ…。」
「あの頃からずっと、君に魅かれていた。」