私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


「彼は若いし菜々美はまだ18だから、二人の行く末を心配していたよ。
 それでも本命(・・)なんだから、出会った以上幸せになって欲しいと書いていた。」


「本命って言いだしたのは、ばあ様だったんですね。」

「まあ、本気の相手って事だろう。」

「そんな事が見ただけでわかるんでしょうかね。」

「不思議だが、絹江にはそう見えたんだろう。」

「あ、だからじい様、あんなに軽井沢やらパーティーやらに
 脇坂先生を誘ってたんですね。」

「絹江の変わりに、ジジイがキューピットになろうと思ったのさ。」

恒三は声を出して笑っている。こんなご機嫌な姿を見るのは久しぶりだ。

「じい様…。お元気になられて良かったです…。」

ただ、こんな恐ろしい顔のキューピットがいるもんか。魔王の間違いだろうと要は思った。



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