私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


「お分かりいただけましたか?瀬川(せがわ)様。」

「はあ?」

ぼんやり名刺を見ていたから、変な声が出てしまった。

銀縁メガネが頬をピクピクさせている。

眉間に縦皺の若い方は、クッと全身が引き攣った。
笑いそうになったな、コイツ。

…上等じゃないか。

小難しい法律用語だらけの、長ったらしい話を聞かされたんだ。
私が脳内で変換した、わかりやすい言葉で言ってやろう。


「つまり…。あなた方は、私の祖父(・・)だという人に頼まれて連絡してきた。」

「はい、さようでございます。」

「私は天涯孤独だと思っていましたが、亡くなった父の実家では私や母の存在を
 ずっと認識していたと言うんですね。」

「はい、さようでございます。」

「なのに、今日まで…母が亡くなって10年経つ今日まで、知らんぷりだったと。」

「は、はあ…。」

「父の母。つまり私の祖母が亡くなって、たまたま(・・・・)私に遺産とやらを残したから
 慌てて私を呼び出したって言う事でよろしいんですよね。」


銀縁メガネは黙り込んだ。
眉間に縦皺男も笑いを堪えるのは収まったらしい。シビアな顔になった。


「状況はわかりました。わざわざご連絡ありがとうございました。
 では、私はこれで失礼します。」

「ええっ!」



私が立ち上がると、男二人の声がハモった。



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