私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
動き出したら止まれない


 月曜日から、私は通常業務に専念した。
社員歴7年目で課長を任されたのだ。力が入るというもんだ。

世の中で女性管理職が注目されてきたから抜擢されたのかもしれないが、
私はこの会社が好きだし、ここで働く事に誇りを持っている。

『鳴尾家』とは無関係で生きていきたいし、遺産も欲しいとは思っていない。
私は一人でも大丈夫なんだと証明したかった。


「おはようございます。」

地味なスーツにキチンとまとめた髪型。お化粧も控えめだ。
これが私の普段の姿。いたってフツー。とにかく、フツーを心掛けている。

「課長、おはようございます~。」
「おはよう。」

さらりとした笑顔で部内の人達に挨拶する。
挨拶は肝心。これは母の受け売りだけど。

派手さは無いが、真面目な仕事ぶりを売りにここまできたのだ。
日曜日の精神的疲れを吹き飛ばすように、私は連日がむしゃらに働いた。



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