私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠

料理を注文し終えると、早速、延原は本題に入った。

「住宅の売却をお考えとか。」
「ええ、古い家ですので土地しか値打ちは無いと思います。」
「土地は何坪ほど?」
「江古田に60坪くらいです。」

「ほお~。リフォームではなく、ご売却でよろしいんですか?」


「はい。そのつもりです。」


菜々美は自分の希望を二人に話した。

「でも、瀬川さん。この先ご結婚とかなさる予定は?」

「あまり考えていないんです。面倒くさくて…。」

中塚はうんうんと頷きながら聞いている。お互い独身でいる理由は同じだろう。

「仕事はありますし、安心できる住まいが欲しくて考えたんです。」

「なる程…。江古田の築50年の家ですと、かなりリフォームしないと長く住めませんね。」

「ええ、その投資より中古マンションを買った方がいいかなと思って。」

「わかりました。簡単に計算してみましょう。」


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