私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠

「現物を見ていないので何とも言えませんが…。」

延原はiPadを出して、菜々美にいくつか尋ねてきた。


「差し障りなかったらご住所を…南側道路でしたっけ…。」

サクサクとデータを入力していく。

「…それで、何処かご希望の中古マンションの目星は…。」
「今住んでいる、高円寺に気になる物件があって…。」


チビチビ飲んでいる中塚を無視して、延原と菜々美の話は続いた。


「何年ローンを組まれますか?変動金利でよろしいでしょうか?」

「20年くらいかなあ~。どう思う、中塚。」

「いや、突然こっちに話を振るなよ。」
「だって、エリートコースに乗ってる同期に会社の将来を聞いてみないと。」
「何のこっちゃ。」

「将来、会社を支えるアンタに私の未来がかかってるんだから。」

菜々美が茶化して言うと、延原は真面目に驚いていた。

「へえ~。お前、優秀だったんだなあ。」

(がく)、黙れよ。昔の事は言うなよ。」
中塚は焦って口止めしようと、延原に凄んだ。

「え?昔って?」

「実はねえ、コイツ高校の頃は…。」

「おい、マジでよせよ、学!」

「その話も聞きたいけど、長そうだから延原さんに結論をお聞ききしたいわ。」

「ああ、失礼しました。」




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