私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
再会という別離
要が言っていた『パーティー』の連絡は、高村から入った。
3週間後に鳴尾家の本宅で開かれるらしい。
軽井沢の別荘と、田園調布の本宅の両方を菜々美に見せたいのかも知れない。
「断れませんかねえ…。」
「これを断っても、また次を計画されますよ。
嫌な事は早めに終わらせた方が良いんじゃありませんか?」
高村もそろそろ菜々美のスタンスがわかってきたらしい。
出来る限り、鳴尾家と関わりたくない気持ちを理解してくれたようだ。
「お祖父様の快気祝いという名目です。手土産をご用意された方がいいでしょう。」
「はあ…そうですねえ。」
「では、当日はマンションまでお迎えに伺います。」
「よろしく…お願いします。」
ため息しか出て来ない。
パーティー、手土産…めんどくさい事ばかりだ。
それでも、快気祝いと言いながらやせ細った祖父の体調は心配だ。
『こんな顔でも見せるだけなら』
母や自分を何年も捨て置いた人達だ。義理はないが、人としての情はある。
菜々美はプレゼントを何にしようか、頭を抱えていた。