私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
『好きだ』と言われる事で、こんなに幸せな気分になれるとは知らなかった。
菜々美の言葉は、うだうだと人生に迷っている自分には眩しすぎた。
告白を受ける事は出来ない。
まだ幼い菜々美は、10歳年上の男に何を期待していたのだろう。
兄か、父親変わりか…。
俺の心の中には男としての醜い欲望だってある。
菜々美の清らかな身体を自分の手で汚してやりたいと思う程には。
それを理性で押し殺していたんだ。
『好きです』と言われたら、その欲がむくむくと顔を覗かせてくる。
このまま側にいたら、きっと理性がブチ切れる。
助手席に座る菜々美を押し倒す前に、大人として別れてやらなければ。
『君をそんな対象には見ていない。』
自分の口から出て来た言葉は、想像以上に冷たいものだった。