私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
土曜日は早めに美容院へ行き、いつもより少し濃い目のメイクをしてもらう。
プロの手にかかると、3割くらいマシになった気がするから不思議だ。
着換えの為に一度マンションに帰った。
少し前に、何かの時に着ようと買っていた柔らかい素材のワンピース。
ドレスを着て鏡の前に立つと、そのサーモンピンクの色合いが似合わなくて驚いた。
『老けた…?』
2年前に買ったドレスでは、余りに顔映りが悪い。
慌てて、上質なスーツに着替えた。華やかなブラウスとパールの二連ネックレス。
それにパールのイヤリングを合わせて何とか凌ぐ。
軽いショックを受けた。
『アラサー』なんて自虐のジョークでは言っていたが、鏡に映る事実は深刻だ。
『そうか…これからは服装も考えなくちゃいけないんだ。』
何とか気を持ち直して、菜々美は披露宴が開かれるホテルに向かった。