私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
脇坂奏佑は、柄にもなく舞い上がっていた。
『菜々美…!』
会いたいとは思っていたが、こんなに早く会えるなんて…。
美しく装って、若い男と並んでいる。
あれが夫だろうか…。
じっと彼女を見つめていたら、視線を感じたのか菜々美が上を向いた。
俺に気付いた様子だが、直ぐに顔を背けてしまった。
『…菜々美…』
無情にも、エスカレーターはすれ違う。
まるで、俺たちの運命の様だった。