私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
同期カップルの結婚披露宴はとても和やかだった。
出席者は最小限に抑えられていたから顔見知りばかりだし、遠慮も無い。
楽しい時間を共有して、全員で二人の門出を祝福した。
最後は、会場の出口にカップルが並んで招待客を見送ってくれる。
週明けには会社で会うというのに、つい皆が二人の前で話し込んでいた。
列の最後尾だった菜々美と中塚も、やっと言葉を交わす順番が来た。
新郎新婦は幸せそうに微笑んでいる。
「お幸せに!」
「中塚君、菜々美。今日はありがとう。」
「とってもキレイだよ、和美!」
「ありがとう、菜々美。」
「同期カップルはこれで二組目だもんなあ。」
「中塚、お前らが三組目になってもいいんだぜ。」
「やだ、木下君。冗談キツイわあ。」
「俺たち、いい友人だぜ。ハハハッ…。」
乾いた笑いが郁也から漏れた。
新婚の木下夫婦は顔を見合わせて、残念そうに菜々美を見ていた。