私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


「魑魅魍魎か…。」

要にとっては家族だが、一歩離れて客観的に見ると気持ちが悪くなってくる。

彼自身は幼い頃から祖父に可愛がられていたし、高校からはアメリカに留学したので
殆ど家族と接点が無かった。

帰国して、鳴尾電子で働き始めたら色々不都合な点が目に付いた。

いつまでも祖父が父に社長の座を渡さない訳だ。

この厳しい現実の中で、父が社長になったら冗談ではなく会社が潰れそうだ。
何処かに吸収合併されるのが関の山だろう。

今だって、菜々美が相続しそうな我社の株が気になって仕方なさそうだ。
それくらいで狼狽えるなんて…。要には、父親がちっぽけな男に思える。

実際、結構な金額だから菜々美を我社に取り込もうと必死なんだろう。
顧問弁護士の高村と結婚させて、お抱え弁護士の妻にするつもりか…。

要は実家に未練はない。
だから実のところは、菜々美がどうなろうと知った事では無いんだが…。
彼女の真っ直ぐな姿勢は気に入ってる。

あの連中が、従兄妹を感情的な理由で排除しようとするのを無視出来ない。

『何しろ、じい様が気に入ってるからなあ…。』

勘当した息子の忘れ形見という以上の、何かを感じている様だ。

『ま、ここは恩を売っておこう。』


自分が父親を飛び越して、時期社長になる為に。



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