私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
突然すぎた。
菜々美はされるがまま、奏佑に抱かれていた。
余りに彼が性急だったから、『未経験』だと告げる間もなかった。
ぐったりとした菜々美を見下ろしながら、奏佑が呟いた。
「すまない…。初めてだったのか…。」
悔し涙が出そうだったが、菜々美は堪えた。
「今度は、優しくする…。」
奏佑が菜々美の耳元で囁くと、背中にゾクゾクとした震えが走る。
奏佑が再び菜々美に、ゆっくりと触れて来た。
甘く、優しく、身体の隅々まで丁寧に愛される。
「ああ…。」
彼は何かを囁いている…。
何て言ってるの?
何を言ってるの?
もう、何が何だかわからない。何も、考えられない。
身体だけが勝手に動く。
菜々美の意識は朦朧としてきた。
これは夢?どこまでが現実?