私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
祖父から結婚しろと言われた日。高村との結婚を打診された日に別の男と寝てしまった。
皮肉な物だ。しかも、相手はずっと恋していた奏佑だ。
どうして彼は、私を抱いたのだろう。
彼は私を抱いた理由は、何も話してくれなかった…はず。
夢中で彼の愛撫を受けていたから、菜々美には殆ど記憶がない。
「…遊びなの…?」
恋ならば、一夜の過ちでも許される気がしたが、単なる遊びの関係は嫌だ。
この年になるまで、抱かれたいと思う男には出会えなかった。
ただ真面目に働き、誰にも迷惑を掛けないように生きてきたのだ。
だが、今夜は生まれて初めて心のままに行動してしまった。
終わらせたはずの恋心が、菜々美を苦しめる。
思いが叶ったと単純に喜べる訳がない。
奏佑と身体だけの関係なんて望んではいなかったのだから。