私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


奏佑は段々、不愉快になってきた。

恒三氏の体調を心配しているのか菜々美をけなしているのか、瑠美の態度はあやふやだ。


「何を…彼女の何を証拠に?」

「だって、急にマンションを買ったり、高級家具を買ったりして金使いが荒いのよ。
 お父様が言ってたわ。高村弁護士と結婚するんじゃないかって。」

「まさか…。」

「彼女の遺産を元手に、高村先生が事務所を立ち上げて独立するんじゃないかって…。」

「あり得ないでしょう。」

「ね、先生は瑠美の味方をして下さるでしょ。」
「いえ、何度も申しますが私は医者ですから…。」

「祖父をあの財産目当ての女から守って下さいね。」

「お祖父様の医療的な事ならキチンと対応いたしますので。」

「よかったわ、先生にご相談できて。」

「………。」

奏佑は常識的に話したつもりだが、彼女には1ミリも伝わらない。

『何なんだ、この人は…』



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