私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
12月に入ってすぐ、菜々美は中塚と延原を食事に誘った。
やっと引っ越し荷物も片付いたので、お礼を兼ねての忘年会だ。
少し早いが、これから年末年始は忙しくなる時期だからいいタイミングだろう。
男性二人を自宅に招くのもどうかと思い、良く行っている小料理屋でご馳走する事にした。
「引っ越し完了おめでとう!」
「お二人にはホント、お世話になりました。」
三人で顔を見合わせ、乾杯をする。
「ローン仲間へようこそ!」
ひと言、延原が付け加えた。
「延原さんも、家を買われているんですか?」
「何を隠そう、3人の子持ちです。」
「ええっ!私達と同い年で、3人のお父さん?」
「言ってなかったっけ?コイツんとこ、高校時代から付き合ってるから。」
「素晴らしいですね。」
「いやあ、大変ですよ。可愛いけど。」
「奥さんがタイヘンなんだよ。」
中塚が、子育てがわかったような口を利くのが可笑しかった。
「高校時代…。ああ、中塚が色々やらかしてた…。」
「そうなんです。コイツ、結構派手な遊び人で…。」
「信じられません!」
「俺と彼女が塾に行ってる間、ゲームセンターですから。」
「逆に、よく一流大に受かったねえ…。」
「俺、やる時はヤル男だから。」