私を赤く染めるのは
「昨日、結月のうちには行かなかったの?」
「行ったよ、マンションの近くまで」
「じゃあ何で」
結月に会っていかなかったの?その言葉を言う前に碧人くんが話を始める。
「マンションに入っていく煌を見かけたんだ。急いでるみたいできっと、ゆづのために駆けつけたんだと思う」
「それなら碧人くんだってそうでしょ」
「でも、ゆづは煌が来てくれた方が嬉しいよ」
そんなことないよ。そう言いたかったが、碧人くんの言いたいことは何となく私も感じていた。
結月は自分で気づいてないだけで、ずっと前から煌に惹かれている。
「ゆづが誰かを好きになるなんてまだ先のことだと思ってた。まぁ、俺は教師だし今はどうすることもできないから」
「……何、その諦めたような発言。碧人くん達の場合は前からの知り合いだし、教師だからって弱気になるのは違うでしょ。アイドルなんかとくっつくよりも、何百倍も現実味あると思うけど?」
「でも、ゆづが好きなのは煌だよ」
私が避けていた言葉をはっきりと口にする碧人くん。
誰よりも勘が鋭い碧人くんが結月の想いに気づかないはずがない。