私を赤く染めるのは



「……確かに今はそうかもしれない。でも、気持ちは変わるものでしょう?数年後、結月の隣にいるのは碧人くんかもしれないよ」

「はは、想像できねー……」

そう言うと碧人くんは寂しげな表情を浮かべて笑う。

「諦めるなら別にそれでもいいと思うよ。碧人くんだって他の誰かを好きに」


「ならないよ」

碧人くんの真っ直ぐな眼差しは私を捉えて離さない。

その瞳からは強い意志を感じる。


「じゃあ、諦めて見守るか、頑張ってみるかの二択じゃん。私は碧人くんは頑張るべきだと思う。だって、ずっと好きだったんでしょ」

多分、煌も結月に好意を抱いてるけれど、
それが恋なのかと問われればよくわからない。煌の気持ちは誰も知らない。

じゃあ、碧人くんが諦めるにはまだ早い。


「……どうして朱莉ちゃんが必死になんの」


「碧人くんが女々しいことばっかり言うからでしょ」

そう言って激励の意味を込めて碧人くんの背中を叩く。

「痛……朱莉ちゃん、俺病人なんだけど」

あ、やば。忘れてた。

慌てて「ごめんね」と謝ると碧人くんは笑って許してくれた。

「ほら、もう帰りな。俺も寝るし。……って、もしかして早退してきた?」

今更そんなことに気づくなんて、やっぱり相当調子が悪いんだろうな。

そして、碧人くんはどこまでも先生であろうとする。

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