私を赤く染めるのは
それぞれの想い


その日は突然、訪れた。


学校から帰宅すると煌がバタバタと部屋の中から荷物を運び出し、廊下に並べていたのだ。

お兄ちゃんはシャワーを浴びているようで、お風呂場からはよくわからない鼻歌が聴こえてくる。

「煌、何してるの?」

「夜になったらここを出てく」


煌があまりにも平然とした顔で言うから、私はその場でフリーズしてしまった。

出てくってうちを?


「新しい家に入居するのは25日じゃなかったっけ?」

今日はまだ13日。入居日までにはまだ10日以上も猶予がある。



「実は紫月さんがハチと俺の情報をごっちゃにしてたみたいで、俺の住むマンションは昨日から入居できたんだって」

「じゃあ、本当に出ていくの?」

「さっきからそう言ってるだろ。色々世話になったな。夜になったら荷物取りに来るから」

煌はそう言うと部屋の中で作業を再開した。



え、これで煌との同居は終了!?

こんな呆気ない終わり方あり??


お風呂上がりのお兄ちゃんに話を聞くと、本当に煌は今日うちを出るらしい。


慌ただしく準備を終えた2人はそのままテレビ局へと向かった。


廊下には煌の荷物が並べられていて、部屋は元の状態に整えられている。

本当に出ていくの?

あまりにも急で状況が上手く飲み込めない。

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