私を赤く染めるのは
大切なことは一番はじめに
後日、碧人くんに返事をしたことを話すと朱莉とお兄ちゃんは少し寂しそうな表情を見せた。
一方、私の恋の進展はというと……。
あの日から特に大きな変化はない。
それもそのはず。
煌への気持ちを再確認したものの相手は芸能人。
そんなに簡単に会えるわけではない。
頑張るとは言ったけれど、お兄ちゃんに会わせてってお願いするのも違うし……。
また煌に会える日を大人しく待つ?
でも、それだと何もしていないのと同じだし。
うーん、私の頑張れることってなんだろう?
果たして芸能人相手にどうアプローチするべきなのか。
結局、握手会の数日前になっても良い案は思い浮かばなかった。
「煌のことは一旦置いておいて、まずは握手会のことを考えたら?ようやくハチに会えるんでしょ」
放課後、うちに遊びに来た朱莉とアイスを食べながら話す。
「でも、碧人くんに頑張るって言ったのに何もしないままでいいのかな」
「碧人くんのために頑張るんじゃないでしょ?恋は自分のために頑張るんだよ。それに無理に色々考え込むより、チャンスの時に動けばいいんだよ」
恋は自分のために頑張るもの。
確かにそうなのかもしれない。
碧人くんと約束したから頑張るなんて、碧人くんと煌どちらにも失礼だ。
また私は一人で空回りするところだった。
「そうだね。ありがとう朱莉」
そうだ。握手会が終わるまではそっちを最優先に考えよう。