私を赤く染めるのは
握手会について事前に調べた情報によるとネームプレートを付けたり、首から下げていると推しが自分の名前を呼んでくれるらしい。
それから、時間制限のある握手会ではどれだけシュミレーションをしても緊張でグダグダになりがち。
だから、大切なことは一番はじめに言うこと。
初めて握手会に参戦する私にとっては、全てが目から鱗だった。
事前に調べておいてよかった。
私は早速、黄色く縁取ったネームプレートにゆづきと名前を書き、財布へとしまった。
あとは会話のシュミレーションっと。
握手会まであと3日。
握手会への準備を終えたその日、ある記事がネットを騒がせた。
“Bijou一色煌。プライベートも俺様暴君”
記事の見出しにはそう書かれている。
「何これ」
中身は煌が人気アイドルグループのメンバーを怒鳴って泣かせたという記事。
そこには、スタッフの証言として煌が廊下で人気アイドルAの腕を掴み、暴言を吐いたと書かれてあった。
もう一つは、煌の中学時代を知る元クラスメイトAからの話。
それは煌がいろんな女の子に気をもたせ、告白してきた子のバレンタインチョコを目の前でゴミ箱に捨てたというもの。
こっちは、やけに具体的な内容が書かれてある。