私を赤く染めるのは


頑張るとかアピールじゃない。
ただ、今は一言でもいいから煌に応援していると伝えたい。

そんな思いでいると「次の方こちらのレジへどうぞ」とスタッフの人に声をかけられた。

一番安いCDが通常版の1100円。

確率的に言うとこの前で6分の1が当たり。



「……あのー30枚下さい」

私は持っていたお金をほぼつぎ込む勢いでCDを購入した。

会場付近では買ったばかりのCDを開封する人達の姿が。

私もその中に混ざって、一枚一枚ビニールを剥がしていく。


30枚もめくっていると最後の方は職人のような手つきで、素早くビニールを剥がせるようになっていた。

結果、30枚中当たりは4枚。


一吹が2枚と凌久、慎くんがそれぞれ1枚ずつ。

普段ならレートの高い煌との交換を探すのは大変だけれど、今回ばかりはすんなりと交換が決まった。

それだけ、ファンの気持ちは揺らいでいるということ。



そして、最後の一枚を持って私は交換内容を書いたスケッチブックを持つ女性2人組に声をかけた。

「あのーすみません。ハチと煌交換してもらえませんか」

唯一持っていたハチの握手券。

これを手放すことはハチと握手できないことを意味する。

「是非お願いします」


そう言って渡された煌の握手券に、私も持っていたハチの券を手渡す。

結果、私の手元に残ったのは30枚のCDと煌の握手券が5枚。

握手券1枚につき約5秒、つまり約25秒煌と会話ができる。


(ああ、推しの神様。
ハチへの愛は変わっていないのでどうか見捨てないで下さい)



< 141 / 165 >

この作品をシェア

pagetop