私を赤く染めるのは
入場時間が近づくとスタッフがファンの整列を始める。
私もその列に並び会場内へと足を踏み入れた。
中ではグッズを販売するスペースと各メンバーのレーンが並んでいて、外からはメンバーが見えないようになっている。
グッズ代のほとんどをCDにつぎ込んだ私はグッズコーナーに背を向け、煌のレーンへと並んだ。
煌のレーンは明らかに他のレーンより空いていて、あの報道の余波を感じる。
途中、手荷物検査を受けるとあっという間に自分の番がやってきた。
並んでいる途中、スマホのメモにまとめた言葉を何度も復唱する。
すると「次の方どうぞ」とスタッフの人に声をかけられた。
その頃には心臓は破裂するんじゃないかというくらい、大きな音で鳴り響き、手にはうっすらと汗が滲んでいた。
そして、ブースに足を踏み入れた時、
私の顔を見て一瞬驚いたような表情を見せた煌と目が合った。
……そりゃ、驚くよね。
ハチに会いに来たはずの私が、煌のブースにいるんだから。
一瞬、崩した表情をすぐに笑顔へと切り替えるアイドルの煌。
「こんにちはー」