私を赤く染めるのは


うちに着くとお兄ちゃんはもちろん不在で私はソファーにうなだれた。

……あ、穴があったら入りたい。


私を丸々閉じ込めてしまうようなそんな大きな穴。

“後悔はなかった”そう言ったけれど、あの時の煌はただただ驚いていて、やっぱり言葉選びを間違えたのではないか思う。

SNSで今日の握手会のレポートをチェックすると、煌への意見は意外にも好意的なものが多かった。

《煌神対応だった。無理好きすぎる》

《直人の台詞お願いしたら言ってくれた》

《煌の俺様キャラ健在(笑)だけど、リアルで性格悪い感じは一切しなかった。手もめっちゃぎゅって握ってくれたし》

今日、煌に会いに行ったファンは元々好意を持っていた人達だったのかもしれない。

それでもいい。今は煌のファン想いなところが一人でも多くの人に伝わればいいと強く思った。


本当はハチのレポを流すはずだった私はそっとスマホを閉じる。


「先にお風呂はいちゃおうかな」


今日一日の疲れを取るため、私は湯船にお湯をはりに行った。




< 144 / 165 >

この作品をシェア

pagetop