私を赤く染めるのは


お風呂での一人反省会を終えた後、朱莉に今日あったことを一から報告する。


すると朱莉は驚きながらもその行動力を褒めてくれた。

夕食にはインスタントのラーメンを食べて時刻は21時。

少し早いけれど、今日はもう疲れたし眠ろう。

そう思ってテレビとリビングの電気を消したとき、ピンポーンとインターホンが鳴った。

お兄ちゃん鍵忘れたのかな。

重い瞼を擦りながら「はぁ〜い」と間の抜けた返事を返すと、ドアの前から「俺」そう声が聴こえた。

その声に猛烈な眠気から覚めていくのを感じる。



「なんで……」

ドアを開けると、そこに立っていたのはさっき握手を交わした煌だった。


「……握手会、途中だったろ」

「あ、握手会?」

煌は訳のわからないことを口にしながら玄関へと足を踏み入れる。


ど、どういうこと!?

握手会ってさっきの握手会?途中だったっけ?


「お前だけ言い逃げしただろ」

……言い逃げ?になるのかな。

だいたい皆そうなると思うけど……、ていうか、それを言うためにわざわざうちまで来たの?

「上がってもいい?」

「い、いいけど」

煌の言葉に慌てて来客用のスリッパを並べる。

数ヶ月ぶりにうちへと上がる煌。

さっき消したリビングの電気を付けて、私達は向かい合わせになるように椅子へと腰を下ろした。

 

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