私を赤く染めるのは
翌日、煌はお兄ちゃんと一緒にうちへ帰ってきた。
「久々に結月の飯が食いたい」そう言って。
そして、夕食を食べ終えたあと私達改めてお兄ちゃんに交際の報告をした。
「煌、ゆづには手を出すなって言ったよな?」
「……出してませんよ。同居中には」
「屁理屈言うな!」
お兄ちゃんが珍しく煌に強気モードだ。
「お兄ちゃんは私が煌と付き合うの嫌なの?」
「いや……嫌っていうか芸能人と付き合うのって大変じゃん。ゆづが辛い思いしないか兄ちゃんは心配なんだよ」
まさかお兄ちゃんがそこまで考えていてくれたとは。
その本音に胸がグッと熱くなる。
「確かに普通のカップルとは違います。でも、結月が辛い思いをしないよう俺が全力で守ります。俺には結月が必要なんです」
煌はそう言うと頭を下げる。
それはマネージャーへの挨拶というよりも兄、紫月への挨拶のようでなんだか照れくさくなった。
「お兄ちゃん私も煌と一緒にいたいの。芸能活動の邪魔にならないようにするからお願い」
私も煌と一緒に頭を下げる。
「……別に認めないとは言ってないだろ。ただし、担当タレントだろうが関係ない。ゆづを泣かしたりしたら許さないからな」
散々うなだれていたお兄ちゃんだったが、最終的には私達の関係を認めてくれた。
『ゆづが高校を卒業するまでは、節度を守ったお付き合いをすること』そう付け加えて。