私を赤く染めるのは
「次は添い寝して、耳元で囁きながら起こしてやろうか?」
「なっ、」
「……本当にやるわけねぇーだろ。バーカ」
ああ〜〜〜〜〜〜〜!!
ムカつく、居候のくせして。
「じゃあ、俺はリビングにいるから」
お兄ちゃんが迎えにくるまであと2時間。
完璧な料理を作ってぎゃふんと言わせてやる!!
そう意気込んで朝の身支度を済ませると、ソファーには我が物顔でくつろぐ煌の姿が。
家に来てから2週間とは思えないほどのリラックスぶりに、自分のほうが居候だと勘違いしそうになる。
煌がここに住む間、彼の食事・家事は私が担当する。その代わり私にはバイト代が支払われる。
それが同居翌日、お兄ちゃんから告げられたルール。
料理や家事は普段から私が担当しているから、いいバイトだと思って頑張ろうと決めた。
推し活のため、あのワガママ王子の面倒みてやろうじゃないの。そう意気込みながら冷蔵庫を開ける。
中には卵とお豆腐が一丁。
あとは調味料と飲み物がずらりと並んでいた。
……しまった。
今日、買い出しに行く予定だったんだ。
完全に忘れてた。
時計の針は8時30分、丁度を指している。
買い物を30分で済ませば、残り1時間。
余裕でしょ。