私を赤く染めるのは

「煌、私スーパーに朝食の材料買いに行ってくる」

「別にカップ麺とかあるならそれでいいけど」



「だめに決まってるでしょう。ダンスも歌も体力使うんだからちゃんと食べないと。それにカップ麺だと栄養も偏ってるし野菜も……」

「あーわかったわかった。じゃあ俺も行くわ」


私の言葉を遮るように煌が急に立ち上がる。

「行くってどこに?」

「どこってスーパー。今から行くんだろ」


ス、スーパー!?煌が?



「絶対だめ!身バレしたらどうするの」

「バレねぇよ。アイドルだってスーパーぐらい行くし」

そりゃあ、アイドルもスーパーには行くだろうけど問題は煌と私が一緒に居ちゃいけないってことで……。



「この辺に住んでることは秘密なんでしょう?欲しいものがあるなら代わりに買ってくるから」

「はいはい、わかりました。じゃあチョコレート」

私が折れないことを悟ったのか、煌はもう一度ソファーに腰掛けると思いの外、可愛いリクエストを伝えてきた。

「チョコレートねオッケー。今日はパンとお米どっちにする?」

「パン」

「了解!煌は仕事に行く準備しておいてよ」

私は財布とスマホ、それからエコバッグを鞄に詰めて徒歩5分のスーパーへと向かった。








ウィーンと音を立てて自動ドアが開く。



ここのスーパーは少し値段が高いけど今日は時間優先!


入口に置いてあったカゴを持ちトマト、ソーセージ、ブロッコリーにパンと朝食に必要な食材を次々とかき集める。


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